体がふるえた話
私は、ある盆踊りを習っています。全国的に有名…かどうかわかりませんが、知る人ぞ知るといったレベルなのか、お好きな方は全国から見にいらっしゃるようです。
全国から来るくらいなので、初めて見たとき、あまりの美しさに子供ともども ぼぉぉ~っとなりました。ミニコミ紙に、盆踊り伝承の会の練習には、その土地以外の人間が参加してもよいとあり、半信半疑、私のようなものが参加してもいいのかしら、なんて頭のなかグルグル状態で行ってみました。
練習会は淡々と はじまりました。私は初心者コースで、まず足の運びから習います。そこで整列して、「ああそれは本当に人の動きなのですか」と ため息をついてしまうほど美しい踊りの先生の前に立ちながら、「あこがれの盆踊りを習う」ということと、「常位胎盤早期剥離でもDICをおこさず生き延び、背骨の破裂骨折を経験しながらもこうやって踊りを習える僥倖」に、文字通り体がふるえました。
私の踊りは、医療の勝利です。どれほどの数の方が、わたしの医療にご尽力いただいたのでしょう。その中のどなたかが、私のあつかいを誤っていたら、私はここにはいないのです。唄の始まる前の寄せ太鼓を聞きながら、毎回必ず、初めての練習の喜びを思い出します。上手下手は別にして、ここまでの生と死を思いながら嬉々として踊ります。本来なら「哀愁を帯びた」と評される踊りなのですが。
ぱっとしない年増の私を、撮影してくださるお客さんもいらっしゃいます。なにかをお伝えできたのかな、と、うれしく思います。写真にそれが残るか心配です。
唄い手の筆頭は、本当に声良しのジサマです。つややかな声にうっとりします。年を追うごとに出番は減り、若手が唄うようになりました。さびしいことですが、伝えていくというのはそういうことなのかもしれない。握りしめた指をひらいていく。
生と死と、生と死と。死があるから生が輝く。そんなことを思いながら、来年の踊りの日を楽しみにしています。
(冬支度から逃避してしまいました。これからがんばります。てへ。)
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